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「あっ、電子電子!! テレビつけて」
食事も中盤辺りに差し掛かった時、ふいに加奈子姉がテーブルのやや僕側に置いてあるリモコンを指差す。
あんたでも届くじゃん。
「はいはい」
ここで言い合っても得られるものはないので、渋々テレビの電源ボタンを押します。
「おー、やってるやってる」
加奈子姉は生粋のサッカー好きなんです。僕はあんまり。この間優作をうちに連れて来た時はやたらと話が合ってたなぁ。
確か今年は５月位からワールドカップがあるとかないとかで、街はサムライブルー一色に染め上げられてます。
開催地は調度日本だそうで。余計に活気づいてるって訳ですね。
「いけっ!! あーもぅ、そこパスだよパス!!」
サッカー選手はかわいそうです。こんなサッカーボールを蹴ったことすらなさそうなど素人にまで文句を言われちゃうんですから。
テレビは上から映してるから、全体の様子が見れてどこに出せば的確かとかわかるけど、実際ピッチに立つと絶対にわかりませんよ。って優作が言ってました。
ちなみに今日は親善試合の日本代表のＡマッチですね。
「ほら、そこだ!! 本田いけー!! わーっ!! 見て見て電子入ったよ、入った入った!!」
いくらなんでも騒ぎすぎだよ。
「やったね……ぐっ」
だ、抱き着かないでよ。
「袖にご飯つくから加奈子姉」
ほんとにしょーもないなぁ。
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