ステューデント*ライター         task:1

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「デンコ!!」 繁華街の駅前に着くと、既に顔色が悪い咲と走り疲れて膝に手をついている優作がいた。 「咲、優作。どうなってるの?」 咲は力なく首を横に振る。 「わからない。とにかく俺達は姫を捜そう。まだ渡辺と関連してるって裏付けがない。姫のご両親と近所の方々が自宅周辺を捜してるから、俺達はこの駅周辺と学校を捜そう」 稀乃がいなくなるなんて……。彼女は家出なんかするような人じゃないし、特にそんな悩んでる風にも見えなかったし。 「警察にはまだ言ってないらしい、大事にはなってない」 咲は付けたして、くそっ!! と駅の壁を殴りつける。 「俺があんなことを話してなければ……姫はっ!!」 どうやら、稀乃は渡辺と一緒にいると考えた方がいいみたいです。 「悔しがる暇なんかないよ、咲。手分けして捜そう」 そう言って走り出そうとした瞬間。 なんか気の抜けるよう着信音。優作の携帯でした。 「サッカー部の奴からだ」 僕と咲の視線を一身に背負い、優作は恐る恐る小さな通話ボタンを押して、携帯を耳に当てる。 『……』 「ああ」 『……』 「本当かっ!? ああ!!」 『……』 「……嘘だろ?」 携帯を耳から話した優作の顔はみるみる蒼白になっていく。 「渡辺が見つかった」 でも……。 咲の電話を受け取ってから今まで、僕の嫌な予感はどんどん膨らんでいた。
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