ステューデント*ライター         task:1

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「本当かっ!?」 咲は真っ先に飛び付く。もしかしたら咲は自分の言動が渡辺くんを苦しめて、失踪に結び付いたのかもって気負ってたのかも知れません。 「ああ……。でも」 優作はそれから口ごもってしまう、何かとても言いづらそうにして俯いてしまった。 僕が優作に言って欲しかった言葉は、彼の口からは出て来なかった。 ――まさか 「優作……、稀乃は?」 聞かなくても、大体の答えはわかってた。 「それが……」 優作の恐怖に怯えるような顔が、全てを物語っていた。 「どうしたんだよ小野、姫も一緒だったんだよな?」 咲も同じだ、取り乱してる。それでも聞かないと、自分の中の理性が崩れてしまう。 「三条は……いなかったって」 あぁ……やっぱりだ。 嫌な予感は、これを暗示していたんだ。 「嘘……だろ? じゃあ姫はどこに行ったって言うんだよ」 咲も冷や汗を浮かべてる。あんまり動揺しない人なのに。 「俺が聞きてぇよ」 ……待った。 稀乃がいなくなったのには、必ず何か理由がある筈なんだ。 僕は……何かを見落としてる。 僕は知ってる筈だ。 今日稀乃は何の話をしてたんだっけ? 赤点……補習……セクハ 「……あっ!!」 ――あれは絶対セクハラよ!! そうだ。 ――考え過ぎじゃないかな。高崎先生はとても真面目だって有名だし、そんなことをするようには見えないよ 高崎先生だ。 ――高崎の裏を暴くわよ 「……高崎先生だ」 僕は二人などお構いなしに走り出す。
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