2人が本棚に入れています
本棚に追加
「とにかく学校に行ってみよう」
時間がないんです。もし高崎先生がこの稀乃の行方不明騒動に絡んでいたとすれば、これは紛れも無い誘拐です。命の危険が一気に上がります。
僕は息をゆっくりと呑んで事態の深刻性をなんとか理解しようと努めている優作と額に大粒の汗を貼り付けて現状の彼女の身の危険性を計る咲の返事を待たずに、ネオンがうるさい繁華街を走る。
――僕のせいだ
「……稀乃」
もし、もう取り返しのつかないことになっていたらと思うと、身体中ががくがくと震え出します。
――とにかく急がないと
「デンコ!! 一人で抱え込むなよ、お前らしくもない」
横に並んできた優作が僕の顔を覗き込んで肩を叩く。
「きっと大丈夫だよ。姫なら高崎くらい得意の左フックでイチコロだろ」
なんとかして僕を励まそうとしてくれてる2人の仲間が、今とてつもなく強い存在に思えます。
「……ありがとう」
――そうだ、希望を失っちゃいけない
そう決意して、繁華街1大きい映画館の前を通り過ぎようとした時
「あら、そんな怖い顔して全速力でどこに行くのよ」
……え?
最初のコメントを投稿しよう!