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だるいです。
誰かさんの為に散々街を走らされた昨日の疲れが抜けないまま、僕は寝ぼけ眼で家を出ました。
加奈子姉が少し心配してたけど、適当にごまかしました。あの人はちょっとでも僕が体調悪そうにすると学校に欠席の連絡をしちゃうんで、元気ぶるのにも一苦労ですよ。
昨日、彼女は親に連絡もしないで一人映画を見ていたそうです。
そりゃ携帯の電源は当然切る、そして入れ忘れる。人気映画のグッズ探しに時間をたっぷりかけて気付けば深夜。
馬鹿ですよ、馬鹿。
そんなことに付き合わされていたと思うと、本当に臓が煮え繰り返りますよ。
出くわす電柱全部拳で折りたいですよ。
まぁ、それより何より可哀相なのは親御さんなんですけどね。
「ちゃんと考えてあげないと……」
当の本人がいないのについ口に出して言ってしまいましたよ道の真ん中で。前歩いてる女子高生に振り返られましたよ今。
「……はぁ」
すっごい眠い。
駅に来るまでに大分いつもより体力を使った気がします。たかだか徒歩7分の道なんですけど。
黄色いラインの電車は今日も時間ぴったりにやって来ました。
たまに色が違うレア車両みたいなのがあったら、電車を待つのも悪くないなぁ。
なんて考えながら乗り込もうとして、ドアが開くのを確認した瞬間
「あら? デンコじゃない」
「……稀乃?」
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