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僕はしがない都立高に通う学生で、今は昼休みで学食の格安A定食をケータイ片手に黙々と食べているところなんです。
でも一人ぼっちって訳じゃない。
「デンコちゃん醤油取ってくれ」
左隣から大声が聞こえたり
「ちょっとデンコ、聞いてんの?」
真正面から訝しげな尋ねが飛んできたりと、ご飯を食べるのとケータイするので本来なら手一杯のところをここぞとばかりに突いて嫌がらせをする2人の男女がいつも僕の周囲にはいた。
「はいはい、醤油ね」
――はぁ
「聞いてるよ。赤評ギリギリなんでしょ? それは補講を受けるしかないんじゃ」
――集中できない
僕はケータイを勢いよく閉じて、彼の腕では届かない僕の右斜め前方に佇む醤油注しを取って渡し、彼女の他愛もない成績事情に耳を傾ける。
格別、この生活が嫌って訳じゃない。友達が一人もいない高校生活を少し想像してみたけど、悍まし過ぎて2分でリターンバックしてきました。
やっぱり人間の友達は温かくていいもんですよね。はい。
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