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「あっ、優作ソースないよ。おばちゃんに言いに行かなきゃ」
僕がそう左隣の男子に告げると、彼は大儀そうに立ち上がって学食のおばちゃんの元へ足を向けた。
彼は優作。苗字は松田……じゃなくて小野ですから。とにかく声が大きくて茶髪で不良予備軍みたいな感じかな。でも友達想いのいい人なんだす。
優作の件が片付くや否や、僕はもう一人の話を聞かなくてはならない。聖徳太子張りの聞き上手なのかも知れない。
「考え過ぎじゃないかな。高崎先生はとても真面目だって有名だし、そんなことをするようには見えないよ」
相手を刺激しないよう細心の注意を払って言葉を選んで菫色の長髪をツーアップに結わいた少女に言い聞かせる。
彼女は三条稀乃(さんじょうまれの)。高校入学して2年経ったけど、何故か幼なじみと同じ位の親近感が湧く。波長が同じみたいな。
かわいいけど性格はあんまりよくないです。とは言ってみたものの、僕もそこそこ腹黒いところがあるので他人の事ばっか言ってられないですけどね。
「あいつにはぜっっったい何か裏があるわ」
ちょっと、いや、大いに頑固なのが玉に傷な女の子です。
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