1 レンズの向こうに見える世界(遥)

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「……はぁ」 小さく息を吐いて、掛けている《眼鏡》を微かにずらす。 腕に嵌められた腕時計を確認すれば、時刻は18:58を示していた。 会社の終業時間は一応五時になってはいるが、うちの会社でそんな時間に帰れる事は滅多にない。 今日はたまたま予定されていた接待が相手の都合で無くなり、こんな時間に帰る事が許された。 何だか……疲れた。 そう心の中で小さく呟くと、あの会社に勤め出してから癖になってしまった溜息が口から勝手に漏れ出す。
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