25人が本棚に入れています
本棚に追加
『なぁ』
いつにも増して、低く冷静な声で貴方が言った。
「…なに?」
貴方の胸に顔を埋めていた私はゆっくりと貴方を見上げる。
「どうしたの…?」
いつまで経っても次を言わない貴方。
-いつもと、何かが違う…。
それは、所謂女のカン。
嫌な想像たちが頭をよぎる。
あぁ
どうか
どうか
不安が的中しないように-…。
そうやって祈る私を尻目に、ようやく貴方は唇を動かし、聞きたくもなかった言葉を放つ。
『さよならだ』
最初のコメントを投稿しよう!