ロザリオの祈り

2/4
前へ
/127ページ
次へ
「なぁ」 腕の中にすっぽりと収まったお前に声をかける。 『…なに?』 お前は俺を見上げてその先の言葉を待っていた。 『どうしたの…?』 珍しく真剣な表情の俺に、少し戸惑いながら。 「さよならだ」 固く目を閉じながら、俺は言った。 最愛の人に向けて。 『…やだ…なんで?!』 そんな顔するなよ… せっかくの決心が揺らぎそうだ。 「俺は、もうすぐ死ぬだろう。」 ストレートに、言い放つ。 お前の瞳が大きく開いた。 『だめっ!だめっ!死ぬなんて、そんなの私が許さない!』 悲鳴に近い叫びを聞きながら、俺はお前を一層強く抱きしめた。 『置いていかないって、約束したじゃない…』 「…」 真っ直ぐな目で俺を見るお前に 何も言えなかった。
/127ページ

最初のコメントを投稿しよう!

25人が本棚に入れています
本棚に追加