その少女「河童」

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次に俺が意識を取り戻した時、そこは天使たちが飛び交う天国だった。 なんてわけなく、 俺が意識を取り戻すと、すぐ目の前にはエンマ大王のような健の顔が、すぐ目の前にあった。 「近いわぁぁー!!」 バチーンっと思わず健の顔を思い切りひっぱたく。 「いってぇぇぇ!! なにすんだよ!!」 倒れこんだ健が涙目で訴える。 「いや……、すまん。目の前にあったから思わず……。でも、お前も悪いぜ? 誰だってお前の顔が目の前にあったらひっぱたくわ」 「失礼なやつだな!! せっかく人が心配してやっていたというのに!!」 「あ、そうか。俺、溺れて……」 気付けば全身ずぶ濡れだ。 どうやら湖の畔に引っ張り上げられたようだ。 そこで俺はハッと気づく。 なんか唇に柔らかい感触があるような……。 「健……。お前、まさか俺に人工呼吸を……?」 「…………。 まあまあまあまあ、それより……」 「それよりじゃねーんだよぉぉ!! なんでぼかすの!? ねぇ!?」 俺は健の胸ぐらをつかみ、揺らす。 「ちょっ、やーめーろーよー」 「ねぇ!? どうなの!? したの!? してないの!? どっち!?」 「……まあ、したと言えばしたし、してないと言えばしてない」 「んなぁーにそれぇ!? ハッキリ言えよ!! 殺すんなら一思いにヤってくれ!!」 「あーもうウザイ。したした。しーまーしーた。ハイ、これでいいだろ? ラクになった?」 「そんな……」 俺は地面にひれ伏す。 俺のファーストキッスがこんなイカツイダークフェイスに奪われるなんて……。 死のう。 もう死ぬしかない。 「ひ、ひぐ。うぅ、ひっひ……えっぐ」 「そんなガチ泣きしなくても……。心配するな。誰も俺がやったなんて言ってないだろ?」 「ひっぐ……、え?」 俺は顔を上げて、健を見る。
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