夏つったら……。

4/5

5人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ
「ゲンじいちゃんはウソつきなんかじゃない。あの時はたまたま見つからなかったんだ」 「健……」 いつもこうだ。ゲンじいちゃんのことになるといつも冷静な健はムキになる。ゲンじいちゃんと健の間になにがあるかはしらないが、まあ、親友が信じるというなら、俺も信じる。 それが「親友」ってもんだろ? 「分かった。その水神湖ってところに河童がいるわけか」 「ああ。その河童ってのが普通とは違うらしい」 「……緑色じゃないのか?」 「それもあるが……」 健はんっんっと咳払いをした。顔を赤らめている。 「可愛らしい女の子で、スク水を来ているらしい」 「ハイ! ウソ!!」 俺は即に叫んだ。 「なんだと! この野郎!」 健が立ち上がり、俺に歩み寄る。 「待て待て! 疑問点が二つある! まあ、座れ!」 健は鼻息荒く、腰を下ろす。 俺は人差し指を上げる 「まず一つ。ゲンじいちゃんの時代にスク水があったのか」 「あったかもしれない」 中指も上げる。 「二つ。それってただの女の子じゃね?」 「いや、それはない」 健は断言する。 「なんで?」 「胸のゼッケンに『2ーA 河童』と書いてあったらしい」 「河童さんだよ! それ!」
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加