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「河童」という名字があるかは知らないが、本物の河童が存在する可能性よりは高いだろう。
「健……、それは名字が河童というんでないかい?」
「そんなの分からない。それにもう一つ有力な情報がある」
「……一応聞こう。なんだ?」
「良く聞けよ。なんと!」
健は溜めに貯めて、その有力な情報とやらを言った。
「好物はキュウリだったらしい」
「……………………」
マジか、こいつ。
なんと! じゃねーよ。キュウリが好きってだけで河童だったら、芦田○奈も河童だわ。
「お前はそれを信じてんのか」
「ああ」
こういう時の健の頑固さは半端じゃない。
結局は俺が折れて、健に引きずられていくことになる。
俺は大きくため息をついた。
「分かった。どうせ一人でも確かめに行くんだろう? 仕方ないから付き合ってやる。今回だけだぞ」
健はニヤリと笑う。
「そうこなくっちゃな! 親友よ」
全く。
迷惑なヤローだぜ。
「その代わりと言っちゃなんだけど、宿題手伝っ」
「それとこれとは話が別」
即答かよ。
融通が利かないヤローめ。
結局、健は最後まで手伝ってくれず、俺は丸一日使っても、溜まりに溜まった宿題を全て片付けることは出来なかった。
さらに、健はもう明日から河童探しを始めるらしい。
はあ……。
今回はどれくらいで健は諦めてくれるだろうか。
俺は残った宿題の行方が心配でならない。
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