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俺は、その「水神湖」とやらに指を指す。
「これ……、池じゃね?」
確かに目の前には美しい水溜まりが広がっている。
しかし、その広さは多く見積もって学校のプールくらいで、「湖」というより「池」である。
黙っていた健が口を開く。
「……池でも湖でもなんでもいい。ここに河童がいたらここが水神湖だ」
……そういうものなのか?
「よし! 探しに行くぞ!」
健は駆け出す。
「まてまて! ちょっと休憩しよーぜ」
健は立ち止まり、振り向く。
「なんだ。その軟弱な精神は。そんな風に育てた覚えはないぞ!」
「……育てられた覚えないんですが」
「ふん! ならば貴様はそこで休憩しとけ! 俺は河童を探す!」
健はずんずんと茂みの奥へと消えていった。
あいつのあの体力はどこから来るんだろうな……。
俺は持ってきたリュックから水筒を取り出した。この暑さのなかでは、こまめに水分補給しなければ、日射病で倒れてしまう。
フタをあけて、冷たい水を喉に流し込む。
むっ………………。
……もう、ない。
来る途中で飲み過ぎてしまった。
まずいな。
まだ帰りもあるのに……。
俺はチラッと「水神湖?」を見る。
キラキラと水面が輝いている。
飲めるか……?
俺は水神湖に近づく。
案外水深はあるが、中々の透明度だ。
これなら多分問題はないだろう。
俺は水筒を持って、かがむ。
水を汲もうとした。
その時である。
ゆらり、と人形の魚影?のようなものが俺の目の前を通り抜けた。
なんだ、ありゃ?
魚にしたらでかすぎる。
動物……か?
この当たりにあれくらいのデカさの動物いたっけ?
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