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新幹線で一時間、さらに電車を乗り継いでついたのは、懐かしい海の見える小高い住宅街だった。
潮の香りに混じって草の香りも感じる。
久しぶりの、何もない街。 しかしそこには確かに、都会にはない何かを感じる事が出来た。
今は時期的に夏祭りの準備をしている頃か。
この辺りでいう祭りとは、街のどこからでも見える海上に立つ大岩をくり貫いて作った祠にお供えと祈りを捧げ、“海鳴り様”と呼ばれる神様へ祈りを捧げるところから始まる。
3日間続く祭りは、初日が祈祷祭、2日目が豊穣祭、そして最終日には祭りに集まってしまった魂や神様の類を黄泉に帰す鎮魂祭で構成され、昔聞いた話ではかれこれ400年続いた由緒ある祭りらしかった。
…ほとんど縁日の記憶しかないけど。
電柱や家々から連なった注連縄が、そんな懐かしい思い出を呼び覚ますようだとた
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