起キル

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握りしめた携帯電話が静寂の中動き始める。 小刻みなヴァイブレーションが右手から、徐々に意識を呼び覚ましていく。 「ん……。朝か…。」 野崎修司は重い瞼を擦りながら、薄っぺらい布団から立ち上がった。 いつもと変わらない、平凡な朝。 壁に掛かったデジタル時計は6月10日の朝5時31分を表示していた。 休日なのになんでこんな早起きしないとならないんだ…。 修司は頭をかきながら、ブツブツと文句を吐いた。 開けっ放しのシャワー室。 空調が故障したので湿気対策に年中開けっ放しのドアの向こうから、じめじめしたカビの嫌な匂いが立ち込めていた。
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