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「おじいはね、もう心から笑うことができないんだよ」
―――― それを聞いたのは、私が9歳のときだった。
………… おじいは、いつもニコニコしてた。私の背丈よりずぅっと高い鉄棒で、逆上がりができるくらい元気だったんだよ。
そんなおじいがね、急にお布団を被ったまま寝てばかりになって、お外にも連れていってくれなくなっちゃった。
―――― いつも決められた時間に薬を服用する。それが病気になったという証拠だということは、当時9歳だった私にもわかった。
………… 「おじいの病気、治るよね?」
って、お父さんに聞いた。
「もちろんさ」
お父さんは言ったよ。
―――― 「おじいの病気、治るよね?」
母にも聞いた。
「きっとよくなるわ」
母は微笑んで答えた。
………… お父さんもお母さんも、おんなじ答えしか言わなかったよ。
――…… だから私は、おじいに聞いた。
「おじいの病気、治るよね?」
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