序章:蒼い青年

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*** 木の数が、例年増え続けている。その下を葉は新しい鞄をかついで歩く。 昨日の夜、また新たに犠牲者が出たらしい。それが丁度、通り道だという話だから不思議なものだ。 通り過ぎる、人々の足が速い。頬に感じる風が次の瞬間、凍り付くような冷たさに変わる。 いやな予感は的中した。 「花吹雪だぁぁぁあ!」 逃げ惑う人々。葉は必死に走った。が、十歩とたたぬうちに足を引っ掛けて転ぶ。 膝をすりむいた。そこから血の匂いがただよう。 人は誰も見当たらなかった。 風が強く吹き、花弁が高々と舞い上がる。餌は、血の匂いの元へ… 葉だった―――…。 .
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