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ああ、こんなにも胸が苦しいのはなぜだろう。砂となり崩れていくトカゲオルフェノクを見ると、ずきりと胸が痛む。もちろん、それは比喩だけど、さ。
ごめんなさい、ごめんなさい。
僕の心の呟きは何度も繰り返されて。
「ごめんなさい」
気がつかないうちに口から言葉がこぼれていた。もうそんなことは考えないって決めたはずなのに。ここへ来てからはそんなことには関わらないようにしようと決めていたのに。
そんな僕を見て先輩は、オルフェノクを初めて見て混乱しているのかと思ったのだと思う。スマートフォンを取り外すと装甲が消え黄緑色のラッピングもバックルへスルスルと戻っていき、元の先輩の姿へ戻った。
「大丈夫か?」
僕はそれに、答えることができなかった。
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