始まり

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 入学式。バスケのコート二つ分くらいの大きさの体育館で、長ったらしい校長先生の挨拶が続いている。  もちろん僕は話を一つも聞いていない。  ああ、話が一分半くらいで終わればいいのに。  一分半と言えば、面接の時も一つの事について一分半で喋れば言いとかなんとか。  聞き流すだけでは暇なので、回りの人たちを観察してみる。  あ、前の人が寝てる。その左の人は同じ学年にどんな人がいるのかキョロキョロしてるみたい。うわ、あの先生ヅラが取れかかってるよ。  なんて、無駄な思考をしている間に校長先生の話は終わっていたみたい。  壇上では、眼鏡をかけたいかにもエリートですよみたいな生徒が立っている。  新入生代表か生徒会長のどちらかだろう。話の途中に何度も眼鏡を指でクイックイッとしてるのがなんか嫌だけど。  それで、どっちか分からない人の話が終わりかけた頃、丸眼鏡をかけた生徒が壇上に駆け込んできてどっちか分からない人に耳打ちした。 「ええい、また奴か! 何度も何度も……!」  どっちか分からない人は、よく分からないことを言って壇上を早足で出ていった。  結局、新入生代表と生徒会長のどっちなんたろうか? ええい、また奴か! なんて言ってるから生徒会長だと思うけど。  僕たち新入生が呆気にとられている間に、入学式はいつのまにか終わってた。  教室に戻るんだけど皆緊張してるみたいで少しカクカクしながら立ち上がり、僕もそれを見て同じく立ち上がって体育館を後にした。
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