1.変身

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 今日はもう帰宅の時間だ。入学式の後のHRも終了し、皆家路についている。僕はというと、教室から一番に出て、今は靴箱にいる。  部活の見学に行っている人もいるみたいだけれど、僕は早く帰りたい。  ほら、今日はいい天気だから、暖かな日差しが眠気を誘ってしまうんだ。なんて。  これは言い訳みたいなもので、本当は部活には入りたくないんだよね。  と、意味のない思考をしつつ、靴を手に取ったとき 「おっす! 少年よ」  後ろから声をかけられた。振り向いてみると短髪の男子生徒がいた。  目付きが結構悪く、睨まれてるみたいで怖い。背も僕より高いので、威圧感が凄い。  こんな僕に用事でもあるのだろうか。いったいなんなんだろう? 「ところで少年、お前はどこか部活に入ろうとしているか?」  部活動の勧誘だった。 「あ、えと。その」  思わず口ごもってしまう。そりゃそうさ。こんなに怖い先輩が話しかけてきたら口ごもってしまうよ。 「見つけたぞ、あそこだ!」  聞いたことのある声がした。先輩の後ろをひょい、と見ると十人ほどの生徒が全力でこちらに駆けてきている。 「おっと、話はまた今度だ!」  先輩はそう言うと、駆けて来ている生徒達とは逆の方へ走っていった。そうなると、鬼の形相をした生徒達が僕の方へ走ってくるのが良く見える。これはつまり、さ。  「う、うわあっ!」  僕は、全力で逃げることにした。  なんなんだよ、この学校は!       
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