21人が本棚に入れています
本棚に追加
今日はもう帰宅の時間だ。入学式の後のHRも終了し、皆家路についている。僕はというと、教室から一番に出て、今は靴箱にいる。
部活の見学に行っている人もいるみたいだけれど、僕は早く帰りたい。
ほら、今日はいい天気だから、暖かな日差しが眠気を誘ってしまうんだ。なんて。
これは言い訳みたいなもので、本当は部活には入りたくないんだよね。
と、意味のない思考をしつつ、靴を手に取ったとき
「おっす! 少年よ」
後ろから声をかけられた。振り向いてみると短髪の男子生徒がいた。
目付きが結構悪く、睨まれてるみたいで怖い。背も僕より高いので、威圧感が凄い。
こんな僕に用事でもあるのだろうか。いったいなんなんだろう?
「ところで少年、お前はどこか部活に入ろうとしているか?」
部活動の勧誘だった。
「あ、えと。その」
思わず口ごもってしまう。そりゃそうさ。こんなに怖い先輩が話しかけてきたら口ごもってしまうよ。
「見つけたぞ、あそこだ!」
聞いたことのある声がした。先輩の後ろをひょい、と見ると十人ほどの生徒が全力でこちらに駆けてきている。
「おっと、話はまた今度だ!」
先輩はそう言うと、駆けて来ている生徒達とは逆の方へ走っていった。そうなると、鬼の形相をした生徒達が僕の方へ走ってくるのが良く見える。これはつまり、さ。
「う、うわあっ!」
僕は、全力で逃げることにした。
なんなんだよ、この学校は!
最初のコメントを投稿しよう!