記憶―0―

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痛みも忘れ、暫くその幻想的な光景に見入っていると、いつの間にか光が消えかかっていた。 (起こすのは忍びないが、そうもいってられん) 《おぃ、起きろ》 『んぅ~………は?』 光が無くなり、指がピクリと動き、瞼をゆっくりと開と、子供は少し抜けた声を上げた。 薄い青の瞳が、忙しなくキョロキョロとさ迷い 『なんでだあぁぁあぁぁぁぁあ"!?』 《なにがだあぁっ!?》 何故いきなり叫ぶのだ! 驚いて我まで叫んでしまったではないか! 《おい!》 《聞いているのか?》 無視。 いっそ清々しい程に。 《おい!》 苛々して大声をあげると 『さっきから煩っせぇんだよ!!ちょっと黙ってろ!!』 理不尽だ それに 声は聞こえていたのか やはり無視していたのだな? 《いい加減にしろ!!》 我にも我慢の限界はある! 『なんでだあぁあぁぁぁぁぁあ!?つーか、誰?だよ!!』 《それは此方の台詞だっ!!》 本当に、訳が分からん。 何から何まで意味が不明だ。 会話が成り立たない。 この子供は本当に人間か? 《貴様は、何者だ?どこから来た?ここで何をするつもりだ!》 子供が、真剣な顔で考え込むから待ってみたが、一向に返答が無い。 《いい加減質問に答えろ!!》
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