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そのときは体育の授業の一環であるマラソン中だった。
体育教師が機嫌が悪い時は夏だろうがなんだろうが決まってマラソンになるのは、僕が通う茎ノ崎高等学校の知れ渡った常識だった。
そして、今日体育教師の機嫌は最高潮に悪かった。
何故悪かったか、それは有力な噂の一つとしてお見合いに失敗したからだという噂が体育前の休み時間に聞きかじった。
…もちろん、噂が本当かはわからないが、機嫌が悪かったのは本当で。
案の定バスケットボールをやるはずだった体育は急きょ、マラソンへと変わったのだった。
マラソンのコースというのは学校の周りの道路のコンクリートを3周してくるというものでこれがけっこう地味に辛い。
しかし、今日は先生の機嫌がさらに悪かった為10周も走らされることになったのだ。
もちろん生徒たちが誰一人反抗することはなく、体育館にわざわざ集合したと言うのに
文句をいう事なく大人しく運動靴に履き替え、個人がそれぞれのペースで文句たらたらに走っていると
体力自慢、運動得意の智恵は軽々と男子の集団を抜かして走っていったのだった。
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