心配性だった彼女

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僕は着替え終わったから入っていいよ、と智恵を呼ぶとドアからすり抜けて入ってきた。 やっぱり幽霊なんだなあ、と僕がしみじみ考えながら智恵を見ていると 『私をそんなじろじろ見て何考えてるの?変態!』 …それは、冤罪だと思う。 僕は学ランの袖に腕を通しながら、智恵に向かって言う。 「ってか、遅刻しないように起こしてくれたところ悪いんだけどさ。 僕、今日は学校遅刻するからね?」 『え、何、何ですか。 ついに明は不良への階段を上ってしまうのですか。』 智恵は劇画のような顔でピキーンと固まって、漫画でよくあるお嬢様キャラが頬に手を持ってって笑う時のようなポーズをしていた。 その光景がかなりシュールで、おもわず僕は噴出してしまう。 「違うよ。 …病院、行こうかなって。」 『あ…。』 そこで智恵もギャグっぽい顔をやめて、正座でフローリングに座る。
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