彼女の死

6/15
前へ
/347ページ
次へ
僕は走ることはあまり好きじゃない。 走った後は、体調が悪くなることが多いからだ。 智恵についてきた僕も自分の体調不良と戦いながらも、結構なペースで走っていたのだとここで気がつきペースを徐々に落として足を動かす方ではなく、会話の方に意識を集中させていた。 「大体智恵は体力がどうこうとか言うけど、注意力はかけてるじゃん。 もっと周りを見て行動しなよ。 …そのうち事故るから、絶対。」 「はぁ!? んなわけないでしょ!? あんたこそ、ぼーーーーーっと生きてるけどさ、そのうち軽トラにでも引かれて死ぬんじゃないの!?」 「そこまでぼーっとしてないからね?」 「はんっ、どうだか? この前デートしたときだって、綺麗な女の人をじーっと見つめてて電柱にぶつかりそうになってたじゃな~い」 その智恵の発言に僕は顔を真っ赤にして反論をしようと、していたのをはっきりと覚えている。
/347ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1701人が本棚に入れています
本棚に追加