彼女の思い、僕のトラウマ

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死刑宣告でも受けるような気分だ、と僕は思った。 全体的に白色で統一されているココは、学校の保健室とは違い消毒液のにおいを強く発していない気がする。 しかし、消毒液とは何か違う医療的な匂いがここをしめていて 僕にとって好ましい匂いではないので、毎回のことながら顔をしかめてしまう。 廊下を歩く人たちの動きは早足できびきびしていて午前中学校を休んで欠伸を噛み殺しながら、校長室とか理事長室にあるすわり心地の良いイスを思い出すような茶色い革で作られたイスに優雅に腰かけている僕は… …なんだか申し訳のない気分になってきた。 ここは病院。 中学2年生の時はここでよくお世話になったなあと過去を振り返ってみる。 しかし、振り返ってみても病室に魔法少女が降ってきたり、病弱な美少女と仲良くなったりとか言うピンク色なイベントは皆無。 良い思い出は全くなかったので思い出して数秒してから記憶の海の底に押しつぶすことにした。
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