0人が本棚に入れています
本棚に追加
幼稚園の頃のあたしは、恋なんて言葉も意味も知らなかった。だから日向くんへの気持ちも、よくわからなかった。
だけどある日のこと―。
「日向くん遊ぼうよー!」
あたしはいつも通り、日向くんの家に遊びに行った。だったんだけど…
日向くんの家に着いてみると、家の中には知らない女の子。その子のお母さんもいる。
「あら、雛ちゃんこんにちは」
日向くんのお母さんは言う。
「こんにちは…」
あたしが日向くんのお母さんに挨拶すると、知らない女の子が、
「初めまして、日向くんのお友達です。祐希(ゆき)っていうの。よろしくね。」
ゆきちゃん…?
なんだろう、この気持ち…もやもや?なんだか嬉しくない。むしろなんだか嫌だ。
やきもち、ただのやきもちだった。なのにあたしは…
「…っ」
走って自分の家に逃げてしまった。
今思うと、申し訳ないなあと思う。けどそれだけあたしは、その頃から日向くんが好きだった。
_
最初のコメントを投稿しよう!