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夏休みに入り、あすかと遊んでいた時、偶然結城さんを見かけた。
「あれ?結城さんだ!」
「結城って、悠奈ちゃんにちょっかいだしてるあの?」
「ちょっかいって……あすか」
「まぁまぁ!誰だろうね?あの女の人……」
「さぁ……。結城さんの知り合いじゃないの?」
――ヤメテ、ワタシイガイノオンナニソンナカオミセナイデ
アナタノエガオヲミセルノハワタシダケニシテ――
彼女かな?
結城さん優しいし、かっこいいから彼女くらいいるよね。
そして気がつけば、自分だけを見て欲しいと思うようになっていた。
「悠奈?最近どうしたんだ?」
「沙羅ちゃん。う、ん。あの、ね?」
「あぁ」
「私、変なの!この間、あすかと遊んでた時、結城さんを見かけたんだ」
「あいつ、何かしてきたのか!?」
「違うよ!結城さんを見かけてね、結城さん綺麗な女の人と一緒でね!」
「それみて、胸がモヤモヤしたのか?」
「……モヤモヤというよりも、女の人に笑いかけてる結城さん見て私以外に笑いかけて欲しくないって思ったの」
あれ?
沙羅ちゃんなんかあきれてない?
どうしたんだろう?
「なぁ、悠奈。お前は結城とキスしたりする嫌いか?」
沙羅ちゃん?
一体どうしたんだろう?
「ううん。嫌じゃなかった」
「――何でだ?」
「えっ?」
「結城にそんなことされて何で嫌じゃなかったんだ?」
「それは……」
そういえば何で嫌じゃないんだろう?
「結城さーんっ!」
「悠奈ちゃん」
私達は、まるで恋人同士かのようによく2人で遊びに出かけた。
「ねぇ、悠奈ちゃん?」
「はい?」
「なんか、今日変だよ。何かあった?」
「何もないですよ」
何かあったじゃなくて、何か言われたなんですけど。
「嘘下手だね?」
「えっ?」
「悠奈ちゃんって嘘つくとき、目線が泳ぐんだよ?」
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