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次の瞬間は、まるでスローモーションのように流れた。
身長の低い春菊の頬を、その少女は思いっきり殴ったのだ。
顔の形が崩れる様が気持ち悪いくらい綺麗に、そのまま、春菊の小さな体は吹っ飛び、近くの木に激突した。
「悪は去った……」
ストレートを打ち終わった状態で、余韻に浸る少女。
「いてててて……」
「まだ立つかエロちび!」
しゅっしゅっとシャドーボクシングしながら、少女は春菊の動きを見つめる。
「いや……これは不可抗力で事故だったんだって! ごめんなさい!」
滑り込み土下座。
少女の手前で静止。
「……うーん」
少女は左腕を組み、右手を顎にあて、考えた。
しかし、考えはすぐにまとまったのか、ニコッと笑う。
「いいよ! 許す――」
「ありがとうございます」
小さな体、低い姿勢から、春菊は見上げる。
(あ、見えた……)
またチラッとパンティが見たことは言わないでおこうと、春菊は固く口をつぐんだ。
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