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「ねぇねぇ、しおん君ってどこからきたのお?」
「かっこいいねー。彼女とかいるでしょ?」
「ちょっと、あんた抜け駆け禁止!」
休み時間、紫苑は案の定、女子生徒に囲まれ質問責めにあっていた。
「…………」
しかし当の本人はまともに相手などせず、腕を組み目を閉じる姿勢をつらぬいているまま。
「うわっ、転校生君かわいそー」
「あはは……。一気に学校のアイドルだね」
それを苦笑いで遠目に見物している女子が2人いた。
「いやいや、あんな愛想のないアイドルおらんでしょ。
しかも端から見たら尋問よ、アレ」
ショートカットの元気な女の子は怖いもの知らずなのか、眉を下げては「ムゴい」と連呼している。
「美波ちゃん!? 聞こえちゃうよ?」
それを、ボブヘアーのおっとりした女の子が止めている。
おっとり少女の努力もむなしく、既に取り巻いている女子の数人が睨んではいるが。
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