俺とお前とお前と俺と

2/14
5501人が本棚に入れています
本棚に追加
/336ページ
 さっきまで、熱を帯びていた場の空気が、凍りついた。 「……お前みたいに、被害者ぶってばっか居たって、どうしようもねぇよ」  この空気を作り出したのは――俺だった。  俺はケイと睨み合ったまま、目を逸らさない。   「……ふん。そうだな……誰だって背負ってるだろうな」 「――?」  やけに素直なケイに、俺は拍子抜けする。  と、ケイが口角を少しだけ上げた。 「お前も、武志も……その女と一緒で――俺に償わなきゃならない罪を背負ってるもんなぁ!!」  ……え? 「ケイ、やめなさい!」  サオリさんが、武志の背中越しに叫ぶ。 「なんだよ? 俺らの罪って」  怠そうに尋ねる武志の表情は……少しだけ冷静さを取り戻していた。  俺は少しだけ安心して、視線をケイに戻した。 「俺らはそりゃ、世間に胸張れないこといっぱいして来たけどさ。罪、ってのはちょっと酷くない?」
/336ページ

最初のコメントを投稿しよう!