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背筋を伸ばし、歩く細い体から香るのはエタニティ。
一人で生きる事を決めた、優し過ぎる女の残り香。
「サオリ! 帰るのか?」
後ろから慌てたようにタクミが追い掛けてきた。
「帰るわ。もう、二度と来ない」
「何言って……」
タクミの言葉を、サオリは強い笑みで遮る。
「私、ケンタに出会わせてくれたあなたには感謝してるわ。
――だけど、あの子の優しさを利用したあなたは許せない。
見てなさい。私が絶対、あなたをこの街から追い出してやるわ――絶対に」
「……!」
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