事実と真実とすれ違い

2/24
5501人が本棚に入れています
本棚に追加
/336ページ
「……遠い」   ボソリと言った俺に、タケシが前を向いたまま、声をあげて笑う。 「毎朝ここ上って登校してたじゃん」  そうだけど。そうなんだけどさ。 「もうそんな体力ない」  俺とタケシの母校は、高台にある。  校門を越えてプールに行くまでに、何気に距離と傾斜がある。  体育館の横というか、裏手というかって場所にプールがあるのだけども。  体育館からプールに回り込んだものの、プールは四方をフェンスに囲まれている。  その上、フェンスの出入り口のドアには鍵がかかっていた。 「……どうする?」  タケシの答えはわかっているけど、念のために聞いてみる。
/336ページ

最初のコメントを投稿しよう!