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「……遠い」
ボソリと言った俺に、タケシが前を向いたまま、声をあげて笑う。
「毎朝ここ上って登校してたじゃん」
そうだけど。そうなんだけどさ。
「もうそんな体力ない」
俺とタケシの母校は、高台にある。
校門を越えてプールに行くまでに、何気に距離と傾斜がある。
体育館の横というか、裏手というかって場所にプールがあるのだけども。
体育館からプールに回り込んだものの、プールは四方をフェンスに囲まれている。
その上、フェンスの出入り口のドアには鍵がかかっていた。
「……どうする?」
タケシの答えはわかっているけど、念のために聞いてみる。
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