雨の夜

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博麗霊夢 幻想郷の博麗神社の巫女である彼女は、幻想郷中に顔が知れている。そんな彼女は今、雨の中、妖怪の山の中腹当たりを飛んでいた。 「止みそうにないわね」 雨は降り続ける一方。体は既に塗れているが、これ以上体を冷やしては風邪をひくかもしれない。こんなことだったら雨宿りをするべきだった。そう考えながら、彼女は下を見た。ふと、ひとつの小屋が視界に入った。何かのほったて小屋だろうか? 「雨宿りぐらいならできるかしら」 高度を下げ、彼女は小屋の前へと降り立った。 「空き家かしら」 最初はそう思っていた。だがいざ中に入ってみると、人が住んでいる形跡がある。いや、妖怪かもしれない。ここは妖怪の山だ。床にはゴザが敷いてあり、中央には囲炉裏、釜戸には鍋。ここの住人は、意外と庶民的な暮らしをしているらしい。気の荒い妖怪なら、こんな暮らしはしない。ならばここにいても多分大丈夫だろう。だが念の為、警戒態勢だけはとっておく。 そんなこんなで一時間ほど経っただろうか。博麗霊夢は小屋の外に気配を感じた。足音だ。雨の音に混じり、近づいてくる。その音は小屋の前で止まった。一応、札を構える霊夢。だが、そんな彼女に外から声がかかった。 「そんな物騒な物を向けられては、入れません」 それはとても優しい声だった。
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