take2.1

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彼女は程なくして息を引き取った。 俺は何をする気にもなれなかった。 彼女を抱きかかえて木の幹にもたれたまま、ぼんやりと風に揺れる樹の枝を眺めた。 俺の頭の中に、彼女の鼓動が響いた。最初に聞いた力強く速い鼓動。死ぬ直前の、弱弱しくかろうじて収縮を繰り返す音。それが耳鳴りのように、ずっと聞こえ続けていた。 温度を失った彼女の胸に耳を付けてみようと思ったが、どうしても出来なかった。 そして次の日、彼女の死体の隣で俺は目を覚ました。深呼吸の後、思い切って彼女の胸に耳を当てた。何も聞こえなかった。 当然だ。彼女は死んだのだから。 納得できていなかった現実がようやく俺の中で解凍された。目から涙があふれ、ぼやけた視界の中で彼女の解体にとりかかる。彼女の体にナイフを突き立てている間、涙が止まらなかった。
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