あきお(点数の悪いテスト)

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『白ヤギ。 この角っこも食べてくれ。』 そう言って、それはぼくのテストをヤギの前にフリフリした。 ヤギはちょっと味の悪さに気づいたように、モグモグを束の間止めて紙を見つめていたが、 静かにウィ~と言う口をして、ベロを覗かせると紙を口の中に引き込んだ。 クシャクシャ…クシャクシャ… モグモグモグモグ…… 「…おい!!」 握力がないのか、単にアホなのか、テストは手を離れ、スルスルと口に引き込まれて見えなくなった。 「どーすんだよっ。 母ちゃんになんて言おう…」 ぼくは焦った。 けれど、それは平然とこう言った。 『すまん。 白ヤギがかわいくて見とれていたらうっかりしてしまった。 大丈夫、母ちゃんにはワシが手紙を書いておく。』 そう言って、それは空に消えていった。 あとには、白い紙切れが落ちていた。 パソコンで打たれたその手紙を、ぼくの母が見ることはなかった。 同じくぽつんと取り残された、白ヤギが食べてしまったからだ。 「母ちゃんになんて言おう……」 ぼくの問題はヤギへと変わっていた。 空を見上げて、それを探したが、もう影も形もなかった。 ………変なロケット。
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