みづほ(ぽい捨て)

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最近のマナーの悪さったらないわっ。 相手がいないからこそ、私の怒りは収まらない。 念願の新居は通りに面した日当たりのよい場所だ。 通学路にもなっている道の脇で、ガーデニングを楽しみながら、「行ってらっしゃい」と近所の子供たちを見送る。 そんな微笑ましい光景を生活の一部にできるなんて、 ……と、オープンな庭にしたのが間違いだった。 横に広がって歩く今時の学生は、挨拶どころか、芝を踏みつけて通りすぎて行く。 そして私が一番許せないのは、ゴミのポイ捨てだった。 不運にも自動販売機の中間距離にある我が家は、行きも帰りもちょうど飲み干す頃合いらしい。 「またっっ!! もぅどうしてゴミ箱まで持って行けないのかしら!?」 私はお日様に喉を見せるくらい上を向いて、怒り任せの伸びをした。 「ぅあ゙ー!!」 そして、眩しくてつむっていた目を開くと、 ……それがいた。
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