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「知らねー…。誰だこれ?」 「知らないの?工藤茜さんだって。お兄ちゃんと同じ白凪高校って言ってたよ。“世界にも通用する卓越した技術を誇る現役女子高生ヴァイオリニスト”って書いてある。」 テレビの右上にはそんなことが書いてあるテロップが出ていた。 「ふーん。でも興味ねえわ。」 「お兄ちゃんはまた勉強?」 「勉強つうか読書だな。」 「そう。頑張ってねー。」 全然心のこもっていない応援をされ、俺は自分の部屋に戻った。 夏目漱石の“こころ” 俺は読みかけのその本を手に取り読み始めた。 「“……然し君、恋は罪悪ですよ。解っていますか”か……。確かに罪悪かもな……。」 工藤茜…… 今後俺の人生を大きく変える20日間が訪れるのはこれから2日後のことである。
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