十一月

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「…凪はそれでも平気かもしれないけど…… 俺は嫌だ。 二週間もまともに凪に触れられないなんて、耐えられる訳ない。」 「ぅ……こ、子供みたいなこと言うんじゃない! お前も少しは勉強しろっ!」 聴いている方が恥ずかしくなる言葉にうろたえ気味になりつつ、軽く舞瀬の二の腕を叩く。 少し顔が熱い。 「勉強はしても良いけど、何か自分の得になる気がしないんだよな… あ、じゃあ、こうしようぜ。」 「っ…何だよ?」 嬉しそうな笑みを見て、俺は嫌な感じがした。 察するのがあまり得意ではない俺でも、これは的中した。 「勉強するから、何か御褒美くれよ。 俺が凪よりも良い点を一教科でも取れたら、凪を一日中好きにする権利をくれる、とか。」 「はぁっ? 何だそれは! やるわけないだろう!」 「でも普通に勉強するだけじゃやる気出ないし。 凪も競争相手いた方がやりがいがあるだろ?」 「それは、そうかもしれないが…」 確かに一人で黙々と勉強し続けるのは、少しだけ辛いものがある。 それを分かったように、舞瀬は更に挑発するような言葉を投げかけた。 「それとも何? 俺に負けると思ってるのか? 学年トップであろうお方が。」 「ぐっ…」 見透かした目を向けられた瞬間、俺は不覚にも対抗意識を芽生えさせてしまった。 「分かったよっ、やってやる! お前なんかに俺は負けないからな! 一教科だって俺よりも良い点なんか取らせてやらん! 競うからには、テストまで一緒に帰らないぞ。」 その言葉を聴いた舞瀬はニヤリと笑った。 「じゃ、決まりな。」 僅かに後悔したときには既にに遅く。 本気を出した舞瀬に、俺は僅差で負けた。 その後、舞瀬にどんなことをされたかは、言うまでもない。
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