5人が本棚に入れています
本棚に追加
あっという間に秋が過ぎ、長い冬に足を踏み入れる。
息を吐くと目の前の空気が白く染まった。
夕方の空気は夜に向かって冷え込む。
そして町はツリーやリースで明るい雰囲気を滲ませている。
身体を小さくして歩く俺の隣には、寒さを全く感じていないような舞瀬の姿がある。
「もうすっかりクリスマスモードだな。
なんかワクワクしね?」
「まあ…俺は無縁だからな。」
「そうなのか?
凪って仏教とかそういうの重んじる家なのか?」
「いや、昔は家を飾ったりケーキ食べたりしたよ。
今は一緒に祝う人もいないから、特別何もしないだけ。」
家を飾り付けて、鶏を焼いてケーキを頬張り、そして朝起きると枕元にプレゼント。
普通の家庭でやる普通のクリスマスを過ごしていた。
母さんが死ぬ前までは。
最初のコメントを投稿しよう!