序章

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学校も休みで家で 寛いでいた私の携帯が鳴る。 いつもの私なら絶対に出ないだろう。 面倒だ。 そのまま、放置しようと思った。 しかし、いつまで経っても 鳴りやまない。 仕方なく、携帯を手に取り 耳に当てる。 『もしもし。』 携帯口には、泣きながら 何か言っている女性。 どうにか用件を聞き出し 携帯をきる。 電話は、学校の同級生。 10分もかけて聞いた事を 要約すると クラスの一人が事故に遭い亡くなった。 可能なら葬式に出てくれないかと言われた。 私は何も感じなかった。 どうも思わなかった。 悲しいとも、苦しいとも。 当然涙など出ない。 無関心に 【死んだんだ】ただそれだけ。 その時声が聞こえた。 「その女を生き返らせてやろう、願え、叫べ」 地を這うような声。 (さて、寝るか。) 「聞こえているだろう。 お前が願えばその女は 生き返る。 生き返って欲しいだろう?」 私は、いままで寛いでいたベッドに寝転がり もう一度惰眠を貪ろうとした。 「なぜだ。なぜ何も言わない。 願えば叶うというのに。 なぜ願わない?」 煩いのは嫌いだ。 そして、私は答えた・・・ 『嫌よ。』 「・・・。」 『何馬鹿なことを言ってるの。 何で他人の為に私が無駄な行為を しなきゃならないわけ? 意味がわからない。 人はいつか死ぬ。 それが早いか遅いかの違いでしょう?』 薄気味悪い声に普通は返事をしない。 言いたいことは、言ったし、 質問にも答えた。 これで寝れる。 「しかし、友達だったのだろう? 親友だったのだろう? 」 『馬鹿馬鹿しい。 彼女は他人よ。 名前すら覚えていないわ』 「では、それ以外に願いはないのか? 富、名声、不老不死 何でもできる さぁ、願え!」 『そんなこと、どうでもいいわ』 「・・・。」 今度こそ聞こえなくなった声。 私が寝た後に、 「面白い、気に入った」と 呟いたことなど知らなかった。
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