序章

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その言葉を最後に 辺りは真っ白になった。 何分たっただろう。 否、ほんの数秒だったのかもしれない。 「お前は何者だ! 死の間際に思うことが やっと終わった そんなことただの人間が思うはずがない!」 確かに私は、 死ぬ瞬間に思ったことは やっと終われる。 ただそれだけ。 私はその質問には答えずに聞いた。 『【転生の魔女】って知ってる?』 声は途切れた。 『私はね、魔女なの。 人間でありながら 魔力を持ち、記憶を持ったまま生まれ変わる。 何度も、何度も。 苦しいこともあったし 嬉しいこともあったわ。 だけどね、そんなことを 繰り返していると 人生に飽きるの』 【転生の魔女】 それが私。 何度も生を受け、 何度も死を迎える。 私にとって人間は 観察対象。 人間ほど馬鹿で 不思議な生き物はいない。 人間が大嫌いで、大好き。 矛盾していて、矛盾していない。 だって、観察対象としては大好き。 だが、人間は大嫌い。 『そういえば、 ここはどこなの?』 今いる空間は、 ただ、ただ、 真っ白で何もない空間。 何処が上で下なのか わからない空間。 表すなら【無】 いつもなら、死ねば 次に意識が戻るのは 新しい躯が手に入ってから。 こんな空間にいたことはない。 「ここは、生と死の狭間 お前のことを気に入った だから、死ぬには惜しいと思った。 俺に感謝しろ!」 話を聞くだけで 俺様な奴と思った。 『それで私をどうしたいの?』 意味がわからない。 相手が誰なのかも 姿が見えないのも 何もかもがわからない。 「俺とともに来い!」 『生きるって疲れるのよね 何か面白いことないかしら?』 脈絡がない? 知らないわ。 私は自分良ければ全て良しと思う魔女 自分に得がないのに 誰かわからない奴といないといけないの。
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