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「ちぃいかぁああぁ!」
「くぅるぅなあぁあぁっ!」
廊下でぎゃあぎゃあ騒ぎながら走る俺たちを見るみんなの視線なんてもう慣れっこだ。
後ろから迫ってくる猛獣の体力は凄まじく、運動部の俺の体力はもう限界に近い。
だが、あいつにだけは捕まるわけにはいかないので、体力なんて無視してひたすら逃げる。
「何故逃げる必要がある!
俺はただ智榎(ちか)を抱きしめたいだけなのに!」
「それが嫌なんだよこの変態がっ!」
「なんだそのいい響きの言葉は!
もっと言ってくれ!」
「ふざけんなぁぁああ!」
「ふざけてなどいない!
本心のことを述べたまで!」
「なお悪い!
つーかいい加減付いて来るんじゃねえ!」
「何を言う!智榎のそばにいるのは恋人として当たり前じゃないか!」
「勘違いも甚だしい!いつ俺がお前のもんになった!」
「なんと!あの衝撃的な出会いを忘れたと言うのか!ならば思い出させてやるから大人しく捕まるがいい!」
「アホかぁあっ!」
俺、桃園寺 智榎(とうえんじ ちか)
只今絶賛もうダッシュ中です。
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