第九章 業

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それは、不思議に思うほど、自分に似ていない。 だが、兵を率いる様になってからは、峻烈な雰囲気を見せる事がある。 馬上の姿には、威が備わり始めた様にも見えた。 父を超えた。そう思う反面、いつか危険な目に遇うのでは、と心配にもなる。 食事が運ばれてきた。湯気を立たせた汁は、肌寒いこの季節には有難い。 「おぉ、旨そうだな。六朗、食べよう。食べて、夜明けまでには、準備を終わらせよう。」 「はい。旨そうです。私は、これだけでも幸せになれます。」
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