第九章 業

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「利孝様。警固に付く今江殿を、どうご覧になりましたか?」 不意に問い掛けられ、不思議に思った。 「急にどうした?何か思う所が有るのか?」 「いえ、先の戦で見掛けた今江殿と、此度お会いした今江殿とは、まるで別人に見えた物で。あぁ、食事の手を止めてしまい、申し訳ありません。」 「いや、良い。別人か…どう変わったと見る?」 「そうですね。先の戦では、溢れそうな程の気を、放っているようでしたが、此度は…何か、深く、そして、重いものをしまいこんだ様な…どこか哀しげに見えました。」
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