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「なんだ、何処をふらついていたのだ?いつでも出れるぞ。」
隊に戻ると、頼賢に声を掛けられた。その声には、明るさを感じた。
「なに、利孝様の元へ行っていただけだ。腕が見つかるかと思ってな。」
緩く風が吹き、袖が靡いた。その袖を擦りながら、答えた。
「ふん、嫌味な奴だな。お前の腕は、もう俺の腹の中だと言っておろうが。何処にも有ろうものか。」
頼賢が、言葉とは裏腹に、笑いながら、腹を叩いた。
「ほぉ、お前は悪食だな。腕に毒でも塗っておくのだったよ。そうすれば、お前の顔を見ずとも済むにな。」
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