第九章 業

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「頼賢。騎馬は準備が出来ている。半数は後ろに回そう。」 「うむ。全隊に伝令。乗馬、槍弓を揃え、整列。遅れる者は許さぬ。組頭に命じ、略奪、民への乱暴を禁ずる。この令に反する者は、打ち首に処す、と伝えよ。」 「見くびるな。招集した時に、その訓示は済んでいる。後は、大殿の号令を待つだけだ。」 頼賢が頷いた。やはり、この男には馬上が似合う。 具足を身に付けた頼賢は、自分の腕を落とした時と、同じ顔をしている。 これだ。この顔が、我が腕を落とした。腕も、この男にならば、くれてやっても悔いは無かったのだ。
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