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伝令旗が見えた。兼通の馬廻りが、こちらに駆けてくる。
忠好も馬に跨がった。片腕でも馬を操れるように、相当な努力をした。
今では、駆ける事も出来るし、遅れる事も無くなった。
「伝令。兼通様から、出陣の命が出ました。今江殿には、警固を完了し、布陣を終えたならば、中軍前に展開致されたし、との仰せです。」
「承った。大殿に、必ずや命を果たす、と伝えてくれ。」
伝令が頷き、槍を差し出した。
「これは?」
「本陣におられる、重綱様より、お預かりして参りました。何でも、身守りとして、と。」
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