第九章 業

77/265
前へ
/1544ページ
次へ
伝令旗が見えた。兼通の馬廻りが、こちらに駆けてくる。 忠好も馬に跨がった。片腕でも馬を操れるように、相当な努力をした。 今では、駆ける事も出来るし、遅れる事も無くなった。 「伝令。兼通様から、出陣の命が出ました。今江殿には、警固を完了し、布陣を終えたならば、中軍前に展開致されたし、との仰せです。」 「承った。大殿に、必ずや命を果たす、と伝えてくれ。」 伝令が頷き、槍を差し出した。 「これは?」 「本陣におられる、重綱様より、お預かりして参りました。何でも、身守りとして、と。」
/1544ページ

最初のコメントを投稿しよう!

532人が本棚に入れています
本棚に追加