第九章 業

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頼賢の手が、緩くあげられ、その手を二度振った。 すると、三百程の徒が、河を向いて整列し、整列が終わると、二つに分かれた。 その後ろに向かい、頼賢が馬を走らせた。それに寄り添う様に、忠好も馬を走らせた。 森から喚声が挙がり、五百程が飛び出して来た。 機を見ていた筈が、先に布陣を始められ、慌てて飛び出したのだろう。 「五百という所か。あの旗は、伊野(いの)だな。ふん、漢辺の名に、つられたか。」 「頼賢、来るぞ。さて、手並みを拝見しよう。」 「些か相手が不足では有るが、まあ、腕ならしにはなるかな。忠好、良く見ておけ。」
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