第九章 業

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「ふん。まぁ、何でも良い。斬るにも値せぬ。連れていけ。」 引き起こされた伊野が、連れていかれる。こちらを見る眼には、生気がなくなっていた。 「おい、随分と苛めたな。恨みでも有るのか?」 忠好が言うと、頼賢が、小さく笑いながら振り向いた。 「恨みなど無い。ただ、あの様な者が、我が父を口に出すのが、腹立たしかっただけだ。見たか?あの怯え方を。笑みを耐えるのが、大変だったぞ。」 「ふふ、そうか。まあ、肩慣らしにもならなかった様だが、錆び付いてはおらんようだな。少しは使えそうで、安心したぞ。」
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